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『真昼の暗黒』

映画『真昼の暗黒』(昭和31年)を観ました。

原作:正木ひろし『裁判官』←昭和の冤罪事件で有名な弁護士さんです。
監督:今井 正←巨匠。
脚本:橋本 忍←尊敬しています。
音楽:伊福部 昭←『ゴジラ』の音楽で有名です。全曲集持っています。

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この映画は、昭和26年に実際に起きた冤罪事件
「八海(やかい)事件」を元に作られています。

昭和26年山口県で老夫婦が遺体で発見されました。
夫は刺殺、妻は首を吊っていました。
警察の捜査により、心中に偽装した他殺と判明し、
付近に住む青年が逮捕されました。

青年の自供により、事件は解決するかに見えましたが、
警察がこの犯行は単独では不可能だとして、
複数犯と断定しました。

逮捕された青年が単独で犯行に及んだことを
自供していたにもかかわらず、
警察は、青年に複数犯の自白を強要しました。
拷問に耐え切れず、共同犯なら罪が軽くなると考えた青年は、
適当に遊び仲間の友人4人の名前を挙げてしまいます。

すると、4人は即逮捕されました。
拷問により、4人は自供を強制させられ、
物証もないまま4人とも起訴され、公判が開かれました。

4人は無実を訴えますが、
死刑を含む全員が有罪判決となりました。
映画は、昭和28年の第二審の判決が
出たところで終わります。

なぜ、ここで終わってしまうかというと、
この映画が公開されたのが昭和31年で
この時、事件は最高裁の審理中だったからです。

最高裁に上告した4人は、
冤罪事件で有名な正木ひろし弁護士に救いを求めます。
正木弁護士は、彼らの無実を著書に書き、世に訴えました。

これが大きな反響となり、今井監督が映画にしたことで、
裁判批判が噴出しました。
最高裁の審理中だったため、裁判所からの圧力もあったそうですが、
それらに屈することなく、公開に踏み切ったそうです。

当時の警察の取調べは、拷問そのものです。
拷問に耐え切れなくなり、警察の筋書き通りに
自白してしまう理不尽さが描かれています。

正木ひろし弁護士原作&橋本忍脚本のコンビには、
『首』という映画もあります。
こちらも見ごたえのある映画です。

未解決事件、冤罪事件は沢山あります。
この映画を観終わった後、
『別冊宝島 戦後 未解決事件史』を取り出し、
最初から再読し始めてしまいました。
寝る前に読むと、恐い夢を見ます。
『真昼の暗黒』_a0198521_19233162.jpg

by nonkinaahiru4 | 2006-10-31 18:10 | {ヒヨコ}映画のこと
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