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『日本のいちばん長い日』

毎年8月になると読み返す本があります。また今月も・・・

大宅壮一著『日本のいちばん長い日』(絶版
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侍の親友から何年もの間お借りしています。

そして昨年、半藤一利著
日本のいちばん長い日 決定版』が発行されました。

もともと原作は昭和40年、
文芸春秋に籍を置いていた半藤一利が
「日本のいちばん長い日研究会」の一員として書いたものを、
大宅壮一の名前で出版したノンフィクション。
その後、時間の経過とともに重い口が開かれ、
新たに語られた関係者などの証言が加筆され、
平成18年に「決定版」が出版されたそうです。

こちらも早く買わなくちゃ
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そして、私が(たぶん)一番好きな日本映画。

初版の『日本のいちばん長い日』を原作に作られた映画
『日本のいちばん長い日』    また三船で〜す
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1967(昭和42)年 東宝
監督:岡本喜八
脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝

物語は、
昭和20年8月14日正午から
8月15日正午までの24時間
を描いたもの。

太平洋戦争終結のため、
日本がポツダム宣言を受諾する。
終戦に反対する一部陸軍将校が、
終戦前夜、天皇陛下の玉音放送用の録音版を
奪取するため宮内省、NHKを占拠し
クーデターを起こすが未遂に終わる。
無事に、8月15日正午に玉音放送がされる。



宮内省、首相官邸、陸軍、NHKなど日本の中枢から、
特攻隊基地に至るまでをそれぞれの角度から時系列に描いています。

終戦へ向けて努力をする側と
軍国主義の時代に生きてしまったがために
立場上、敗戦を認めることのできない軍部側の苦しみ。

終戦へ向けた話し合いが行われている一方で
次々と飛び立っていく特攻隊兵士たちの姿。
終戦が発表されてもそれを信じずに戦いを命じる上官の姿。
終戦を迎えるために命を落とした人々。

この映画によって、戦争がどんな人たちによって、
どのような経緯があって終わらせることができたのか、
日本の歴史を大きく動かした
長い長い一日を知ることができます。

私たちの現在の平穏な生活の歴史には、
この日が重要な役割を果たしていることを実感します。
それを考えると、感慨深いものがあります。


映画的にも最高の映画です。
というのも、東宝創立35周年記念映画ということもあり
豪華キャスト(誰が主役なのか分からないほどです)で、
その出演者のほとんどの方が戦争体験者なので、
戦争の記憶も生々しく、迫真の演技が見ごたえ十分です。

淡々とした仲代達矢のナレーションから始まり、
私の注目すべき配役は、
加藤武演じる迫水書記官長です。
当時の首相 鈴木貫太郎の書記官として
すべての経過を見てきた証言が重要な資料だったと聞いています。
加藤武といえば等々力警部(よし、わかった!
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)ですが、
この映画では、迫水書記官長にしか見えません
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また、当時二枚目スターとして売り出し中(なぜ?)の
黒沢年男がクーデターを起こす陸軍省軍事課員 畑中少佐役で
熱演しているのも見逃せません。

会議の場面も多いので、
ディスカッションムービー的な感もありますが、
場面転換が軽快(岡本監督の得意技)なので、
最後まで緊張感が解けない映画です。
役者さんが全員、存在感があって、
役の人本人に見えてしまいます。さすがだな〜。

※この映画は、8月14日深夜(15日)0時40分から
  NHK BS2で放送されます。

by nonkinaahiru4 | 2007-08-01 13:08 | {ヒヨコ}映画のこと
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