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『酔いどれ天使』

見ちゃった
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黒澤と三船 出会いの映画
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<酔いどれ天使>
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昭和23(1948)年 東宝
監督:黒澤 明
出演:
    貧乏医師    志村喬
    闇市のヤクザ  三船敏郎
    女学生      久我美子
    ブギを歌う女  笠置シズ子
    婆さん      飯田蝶子
    ヤクザの情婦  木暮実千代

お話自体は、至って単純なもので・・・・

飲んだくれの貧乏医師(志村)が、
闇市のヤクザ(三船)の鉄砲傷を手当したことがきっかけで、
そのヤクザが肺病を患っていることを知る。
自分の若い頃に気性が似ていると親近感を覚えた医師は、
ぶつかり合いながらも治療していこうと試みる。

一方ヤクザの三船は、そんな医師の優しさに
反発しながらも治療する気になる。
ところが、そんなとき出所してきたヤクザの兄貴分との
縄張り争いや情婦を巡る確執に、
お酒を飲んでしまったり、喧嘩をしてしまったりと
徐々に命を縮めていく・・・・・・と悲しくも後味は悪くないお話です。


この映画の何が面白いかというとですね・・・・・

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三船が美しい
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最初は誰だか全く分かりません

(芥川龍之介にも見えます)
若くて勢いがあります。それでいて美しい。
三船だけが映っているシーンは、まるでフランス映画のようです。

その反面、
三船のメイク、濃すぎ
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これは、三船が肺病を患っているヤクザ役ということで
げっそり見せるために、頬骨の下げっそりラインに
三角にチークが濃く入っているためです。

この映画は、三船にとってデビューしてから3作品目、
直前に出演した他の監督の映画を見た黒澤監督が
惚れ込み、黒澤作品デビューとなったのです。

そして、この映画の主役は、貧乏医師役の志村喬さんなのですが、
準主役の三船が強烈すぎて主役より目立っているということです。
結果、三船の出世作となり、
以降、黒澤映画には欠かせない役者さんとなったのであります。

でもね、
「肺病患者が5人も来れば今の医者は食いっぱぐれがない」
なんて悪態ついて、
口は悪いけど心優しい貧乏医師を演じる
志村喬さんがまた、いいんです

これが後の黒澤映画「生きる」へとつながっていくんですね。

さらに舞台は昭和23年、占領下の日本の東京です。
闇市が盛んな時代です。
私たちが全く知らない闇市の風景、
そこで暮らす人々、
闇市でのヤクザの役割、
お米や牛乳などが配給制の時代、
その頃の日本を垣間見ることができます。

戦後3年目の映画で、
役者さん自身も戦争経験者ですから、
演技も生々しいです。
今ではもう作れないタイプの作品ですね。

心に残る台詞もいくつかあります。
貧乏医師 志村さんの台詞。
「結核ほど理性の必要な病はない」
「人間に必要な薬は理性なんだ」
と、「理性」という言葉への監督のこだわりが感じられます。
 
<おまけ>
ブギを歌う女で出演の笠置シズ子さんは、
「ジャングルブギ」をキャバレーで歌っています。
久我美子さんはなんと!女学生役。
時代を感じます。


今週は、もう一本の黒澤映画「羅生門」も見ました。
この感想もいつか書きたいと思います。
by nonkinaahiru4 | 2007-01-20 21:01 | {ヒヨコ}映画のこと
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